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神経系統の障害

障害(等級)認定基準【解説】

【認定基準の記載】

程度 障害の状態
1 級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2 級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3 級

身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

神経系統の障害の認定基準は、「第7節/肢体の障害」の「第4 肢体の機能の障害」とほぼ同じ記載です。異なるのは、上記3級の最後の項目が神経系統の障害のみに見られる点です。ただ、これを読んでも理解するのは難しいかもしれません。そこで、認定要領を見てみることにしますが、まずは等級例示を図示します。

●神経系統の障害(疼痛)の等級例示
等級 障害の状態
3級

軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの

「神経系統の障害」(疼痛)については3級と障害手当金しか等級はありません。

【障害部位の認定要領を使う】

① 肢体の障害の認定は、本章「第7節 肢体の障害」に示した認定要領に基づいて認定を行う。
② 脳の器質障害については、神経障害と精神障害を区別して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合し、全体像から総合的に判断して認定する。

神経系統の傷病であっても、発現する部位が肢体であれば肢体の障害の認定要領を、脳の器質性障害であれば精神の障害の認定要領を使用するというあことになります。

【神経系統の疼痛は認定される】

③ 疼痛は、原則として認定の対象とならないが、四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛、脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛、根性疼痛、悪性新生物に随伴する疼痛、糖尿病性神経障害らよる激痛等の場合は、疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見等により、次のように取り扱う。

つまり、冒頭に述べた通り、神経系の疼痛は認定されることがあるということです。まとめてみましょう。

●神経系の疼痛の認定対象と考慮事項
認定対象 考慮事項
四肢その他の神経の損傷によつて生じる灼熱痛 疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見等
脳神経および脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛、根性疼痛
悪性新生物に随伴する疼痛
糖尿病性神経障害による激痛

【神経系統の疼痛は3級】

認定基準の3級に「神経系統に、労働が著しく制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」と定められていますが、認定基準では以下のように解説しています。

③ 神経系統の疼痛

 ア 軽易な労働以外の労働に支障がある程度のものは、3級と認定する。

 イ 一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものは、障害手当金に該当するものと認定する。

先にまとめた「神経系の疼痛の認定対象と考慮事項」を満たし、かつ「軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの」は3級に認定するとのことです。つまり、疼痛が激しく、労働に支障がある旨を他覚所見として診断書に記載してもらうことが必要となるでしょう。診断書は肢体の障害用(様式第120号の3)を使うことが多いですが、障害の程度加瀬反映されにくい場合は、「血液・造血器、その他の障害用」(様式第120号の7)を使用することも考えられます。

ここまでをまとめて図示すると、冒頭に掲載した通りになります。

●神経系統の障害(疼痛)の等級例示

等級 障害の状態
3級 軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの

【障害認定日の特例】

さらに、障害認定日の特例として、下記の取扱いをすると定められています。

④ 神経系の障害により次のいずれかの状態を呈している場合は、原則として初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日以前であっても障害認定日として取り扱う。 

 ア 脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6月経過した以後に、医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき。

 イ 現在の医学では、根本的治療方法がない疾病であり、今後の回復は期待できず、初診日から6月経過した日以後において気管切開下での人工呼吸器「レスピレーター」使用、胃ろう等の恒久的な措置がおこなわれており、日常の用を弁ずることができない状態であると認められるとき。

"ア"は脳梗塞等の請求でよく使う。初診日から6月経過後の症状固定です。"イ"は寝たきりや遷延性植物状態を指しているのでしょう。

【診断書で等級を確認する】

●3級の事例

【診断書事例】様々な処置を講じたが疼痛は収まらず、診断書の項番⑫一般状態区分表、項番⑮の(1)自覚症状、項番⑯日常生活活動能力及び労働能力の記載から、労働に著しい制限がある状態なので3級です。項番⑫一般状態区分表は「エ」で2級の状態といえるかと思いますが、神経系統の障害の認定基準は3級までなので、仕方ないでしょう。

疼痛は基本的には障害認定の対象となりませんが、神経系統の障害の場合は対象になります。したがって、疼痛と聞いただけで除外するようなことのないよう留意してください。